鈴木賢一の世界

「鈴木賢一」または「鈴木賢一工房」について

「人形との会話を楽しんでいます。こちらから語りかけ、人形からも語りかけてくる。

この会話がなければ、本当の人形はつくれません」

【人形に語りかけ、その声を聴く】※賢一工房運営元の「人形の東玉」サイトより

 鈴木賢一本人は平成22年92歳で逝去されておりますが、技術を受け継いだ弟子たちがその技術を昇華させるべく「人形の東玉」社内工房にて雛人形を製作し続けています。
 木目込人形は、一般的な雛人形の衣装着とは少し違い、観賞用の美術品・芸術品という側面があります。 鈴木賢一もそのような作品を多く生み出し、雛人形における木目込人形の地位・価値を大きく向上させました。
 折しも高度経済成長期で大量生産の時代の中でその波に飲まれず、伝統工芸の価値や意義を守るため高みを目指した人形作りを実践していた数少ない作家です。
賢一はそれまでの雛人形の形とは違い、独創的なフォルム・シルエットを創作しました。作品のどれをみても、 衣装の張りやふくらみ、重なりなどその形には見る人を魅了し語りかけ、見る人によっていくるもの解釈を生み出す美術品の品格があります。

賢一という一流

「人形との会話を楽しんでいます。こちらから語りかけ、人形からも語りかけてくる。この会話がなければ、本当の人形はつくれません」

上記は本人が遺した有名な言葉です。人形を作る人間が行きついた先の言葉ではないでしょうか。
自身がいままさに手をかけて制作している人形と語り合う事。それは、自身の心との会話とも受け取れます。 本人は意識せずともその心の有り様が、周りから「一流」と言われる所以です。

生み出された独創性

 <寿々喜雛>で早くもその独創性を見せます。
 雛人形の起源と言われる祓い(はらい)の形状を人形化した「立雛」。それを賢一独自の解釈で手を前に組み、笏(しゃく)を持つ形にしました。 その芸術性が高く評価され、後に天皇、皇后両陛下への献上品にもなります。
 「岩槻木目込人形の歴史は<賢一>以前、以後に分けられる」 ほどに賢一の影響は大きかったと言われています。

芸術的な価値を高める

 <賢一>の作品、その個々の芸術的な質の高さはもちろんのこと、寿々喜雛の制作によって柔軟な解釈が世の人形師たちに影響を与えました。 守るべき伝統や土台を継承しながら、自身の感性を信じ創造性や芸術性を育てる人形作りを示しました。その一方で、自身の技術は惜しみなく指導しています。
 「自分の技術はあの世まで持っていくことはできないのだから」「私の知っていることは、一つ残らずお教えします」

賢一の担い手

 着物などの分野では有名な古代織物を再現した龍村美術織物を使用するなど、木目込人形に独自の創造性を込めた作品を発表していきます。
 また、近年では「時代裂(じだいぎれ)」と称した江戸~昭和初期に織られた様々な美術的な生地を使った木目込人形が生まれています。 現在、鈴木賢一の姿はありませんが、確かに彼の想いは弟子たちに受け継がれています。

当店における賢一の作品タイプ

 鈴木賢一の作品にはいくつかのタイプがあります。それらを把握しておくと、作品の見え方も変わってきます。
※以下の作例は当店における取り扱い作品です。

立雛(たちびな)

鈴木賢一工房の木目込立雛は、主に「寿々喜雛(すすきびな)」という名称で展開しており、その大きさによって
「優(ゆう)、「祥(しょう)」、「琳(りん)」、
の三種類を制作しています。
また、鈴木賢一の名を冠する作品はすべての生地で「正絹(しょうけん」が使われ、「桐箱」に納められます。
※以下の種類は当店での一例です。ほかにもいくつかのタイプが製造されております。

寿々喜雛 「優(ゆう)」

形・シルエットの参考画像です。衣装は関係ありません。

寿々喜雛のなかでも一番サイズの大きいタイプです。また、衣装には特別な加工のされたものや希少な裂(きれ)を使ったものも多く特にハイグレードな扱いのものになります。
<寿々喜雛 「優」のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :29.5cm
幅 :19cm
奥行 :7.5cm
※袖の最大幅の部分
高さ :23cm
幅 :15cm
奥行 :7.5cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅40cm位から  高さ40cm位から
立雛の特性として、幅は狭く高さをとってセットする必要があります。
当店ではゆったり飾った大きさのセットにしていますが、
ご自身のお好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。

寿々喜雛 「祥(しょう)」

形・シルエットの参考画像です。衣装は関係ありません。

寿々喜雛のなかでも中ぐらいのタイプです。金襴や友禅などのお雛様らしいデザインも多く、一部限定品として特殊生地のタイプもあります。
<寿々喜雛 「祥」のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :25cm
幅 :16cm
奥行 :6.5cm
※袖の最大幅の部分
高さ :20.5cm
幅 :13.5cm
奥行 :6.5cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅35cm位から  高さ30cm位から
立雛の特性として、幅は狭く高さをとってセットする必要があります。
当店ではゆったり飾った大きさのセットにしていますが、
ご自身のお好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。

寿々喜雛 「琳(りん)」

形・シルエットの参考画像です。衣装は関係ありません。

寿々喜雛では一番コンパクトなサイズです。小さいからといっても品質は優や祥と遜色なく、それでいて飾りやすいサイズ感であることから人気があります。
<寿々喜雛 「琳」のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :20cm
幅 :12.5cm
奥行 :5.5cm
※袖の最大幅の部分
高さ :17cm
幅 :10cm
奥行 :5.5cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅30cm位から  高さ25cm位から
立雛の特性として、幅は狭く高さをとってセットする必要があります。
当店ではゆったり飾った大きさのセットにしていますが、
ご自身のお好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。

座り雛(すわりひな)

鈴木賢一の座り雛は似和喜(いわき)、豊和の春(ほうわのはる)など、いくつかの種類があります。 製品名称にこれらの記載があれば、衣装は違っても同じ型(かた)のお雛様になります。
人気のある型は似和喜です。ある程度のコンパクトさがありながら、衣装がじっくり見れる大きさもあり、造形的にも見ごたえがあって美しく感じられます。
また、立雛同様、鈴木賢一の名を冠する作品はすべての生地で「正絹(しょうけん」が使われ、「桐箱」に納められます。 ※以下の種類は当店での一例です。ほかにもいくつかのタイプが製造されております。

似和喜(いわき)

形・シルエットの参考画像です。衣装は関係ありません。

似和喜は賢一の作品の中でも特に人気のある型です。適度なサイズ感がありながら、賢一らしい造形美が随所に見られ、商品展開としても様々な生地・配色が楽しめます。
造形の特徴として殿・姫ともに両袖が鋭角に吊り上がっている点があげられます。独創的なデザインで見るものをひきつけます。また、その角度に併せて姫の重ねの配色も様々です。
全体としてのバランスもよく、高すぎず低すぎずに正面から見た形は正三角形のシルエットになります。 そこまで手の込んだ作りながらも、比較的コンパクトなので、家中のどこにでも飾ることができます。
<似和喜(いわき)のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :13cm
幅 :14.5cm
奥行 :11cm
※袖の最大幅の部分。
「嬰(エイ)」は未着用の高さ。
高さ :10.5cm
幅 :16.5cm
奥行 :12cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅45cm位から 高さ20cm位から

当店では、ある程度の余白をもって飾り台や屏風をセットしていますが、
「もっと小さく飾りたい」・「もっとゆったり飾りたい」等の好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。

豊和の春(ほうわのはる)

形・シルエットの参考画像です。衣装は関係ありません。

豊和の春は、造形や衣装の切り替え、かさねの多段構造が美しい作品です。似和喜にくらべ少しだけ幅広に作られていますが、高さは抑えてあり扁平に見えます。
この扁平な見え方が、着物が地に付くようにかさねられた状態のように見え、そこに賢一の独創的な構図で型が作られています。
前のみならず、上からや後方からの視点で見る楽しさ・美しさがあります。
<豊和の春(ほうわのはる)のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :13cm
幅 :15cm
奥行 :13cm
※袖の最大幅の部分。
「嬰(エイ)」は未着用の高さ。
高さ :11.5cm
幅 :18cm
奥行 :15cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅50cm位から 高さ30cm位から

当店では、ある程度の余白をもって飾り台や屏風をセットしていますが、
「もっと小さく飾りたい」・「もっとゆったり飾りたい」等の好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。
※以下3つのセットは、人形は同じものですが、セットを変更することで見え方が変わる例です。

その他の座り雛の型

タイプ「天平」:大き目のサイズでどっしりとした造形。姫のかさねや殿の内衣など多種の生地の切り替えが美しい。

タイプ「天平」:上から見ると多段構成の造形美がより楽しめます。細かな衣装の切り返しに卓越した技法が見えます。

タイプ「瑞宝」:天平と近いサイズながら、より扁平な造形とし、さらに多段構造を深め衣装の切り替えを増やしています。

タイプ「瑞宝」:多様な衣装の変化が楽しめ、より深く幅広いデザインが表現できる反面、制作には相当な技術と時間が必要となります。

「天平」や「瑞宝」、そのほかいくつかのタイプがありますがどれもが、当店で人気のある「似和喜」や「豊和の春」より大きいことから飾り台の幅を70cm前後からセットすることが多いです。 このため、都市部である神戸市内の方より、多少遠方の比較的広めのお宅にお住まいの方に人気がある印象です。
<天平(てんぴょう)のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :17cm
幅 :21.5cm
奥行 :18.5cm
※袖の最大幅の部分。
「嬰(エイ)」は未着用の高さ。
高さ :15.5cm
幅 :22cm
奥行 :20.5cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅65cm位から 高さ30cm位から

当店では、ある程度の余白をもって飾り台や屏風をセットしていますが、
「もっと小さく飾りたい」・「もっとゆったり飾りたい」等の好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
<瑞宝(ずいほう)のサイズ>
男雛(殿) 女雛(姫)
人形単体の実寸
※個体により誤差はあります。
高さ :12.5cm
幅 :17.5cm
奥行 :13.5cm
※袖の最大幅の部分。
「嬰(エイ)」は未着用の高さ。
高さ :11cm
幅 :16cm
奥行 :15.5cm
※袖の最大幅の部分
セットする台屏風の大きさの目安
幅45cm位から 高さ30cm位から

当店では、ある程度の余白をもって飾り台や屏風をセットしていますが、
「もっと小さく飾りたい」・「もっとゆったり飾りたい」等の好みで台屏風を選んでいただいてかまいません。
オンラインショップに掲載している同タイプのセットをご案内します。
画像をクリックすると商品ページが開きます。